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三秒待てば 22*

続き
「っ……、ふ……」
 相手の触れ方のせいだろうか。極力声をあげないようにしても、意に反して唇が開く。
 いつのまにか男の手は服の下へと潜り込み、感触を確かめるように素肌の上を這い上っていた。
 その指先が再び突起を探り当て、焦らすように周囲ごと撫で回す。先端に爪を引っかけ、倒すように転がされると、そのつもりもなく吐息に熱がこもった。
「ぁ、やめ……っ」
 千景が首を振るのも構わず、服の裾をめくりあげられる。露になったもう一方の色づきに唇が近づき、身構える間もなく舌先で舐め上げられた。堪えきれず上体がびくりと跳ねる。
 これ以上誰かもわからない相手にいいようにされるわけにはいかない――思うものの、現状でできる抵抗など高が知れていて、次の瞬間、千景にできたことと言えばとっさに唇を噛むことくらいだった。男がくわえた突起に舌を絡め、不意に強く吸い上げたのだ。
「いっ……、あ!」
 続けざまに歯を立てられると、さほどの痛みはなくとも身体は強張る。どうにか声をあげずに済んだと思っていたら、すぐさま他方も捻りあげられて、結局短い嬌声を漏らす羽目になっていた。同時に艶かしく背筋がしなる。
「あぁっ……も、放……っ」
 声が上擦り、視界が生理的な涙に滲む。思いとは裏腹に、腰の奥へと熱が集まり始めていた。
 そんなはずないと信じたいのに、今まで送ってきたいい加減な生活態度のせいか、身体の反応がそれを否定する。
「ふ……、っ」
 男が触れたさきから、痺れるような甘い掻痒感が全身へと広がっていく。次第にその先ばかりを求めそうになっている自分に気づいて、千景は一度強く目を閉じた。夢なら覚めろとでも言うように。
「……っ!」
 しかし、それで事態が好転することはなく、それどころか男の手は脇腹を伝って腰へと伸び、そのまま下腹部を確かめるように撫でつけてきた。しかもその瞬間、慌てて千景が刮目したときには、身につけていたはずの衣服まで全て消えていた。

05/15*2013

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